★吉川三国志ネタ★
★吉川三国志ネタ★
  愛する者に、我が首を贈る   (2011/2/8)
昨日からずっと吉川のおかげでテンション上がりまくり
何回読んでもホントに萌えるぜ!!(特に恋の曹操〜千里行の辺り)
まぁ確かに吉川といえば「恋の曹操」だが、もちろん関羽と劉備の関係も萌える
というか曹操と劉備の「関羽争奪戦」状態な三角関係が萌える

本当は名言バナーに兄者の「自分の首を贈る」発言も入れようかと思ったが、
相変わらず怖すぎてバナーに使うのは自重した(笑)



(※なんか今回は吉川劉備について語ってたら、うっかり猟奇的なサスペンスホラーな感じになったので、吉川ネタを知らない人は読まない方向で)

管理人は横光を先に読んでたので、手紙の内容を知らんかったのだが、吉川だと兄者が許昌にいる関羽に内容が書いてある
吉川を最初に読んだ時は、「兄者ってばそこまで関羽の事を想って…」と、あの手紙に感動していたが、よくよく内容を考えたら、ちょっと怖かった
しかも今このネタを書くために、深夜にジャズを聴きながら吉川の「避客牌」辺りを読んでたら、ちょっと泣きそうになったわ…(何故ジャズ?)


▼許昌にいる関羽へ兄者からの手紙

君と我とは、かつて一度は、桃園に義を結んだ仲であるが、
身は不肖にして、時また利あらず、いたずらに君の義胆を苦しませるのみ。
もし君がその地において、そのまま、富貴を望むならば、
せめて今日まで、報いること薄き自分として、備(劉備)が首級を贈って、君の全功を陰ながら祈りたいと思う。
書中言を尽くさず、旦暮河南の空を望んで、来命を待つ。


まぁ簡単に訳すと…
「義兄弟になったものの、苦労ばかりさせてごめーん!」
「もし許昌で出世したいなら、今までのお礼として首を贈るから、それを手柄にしてねv陰ながら応援してるよ!」
的なノリですが(※あくまで意訳)
普通に読んだら感動的な文章かも知れんが、実際のところ出世祝いに「自分の首」を送り付けるとは如何なものか…(冷静に考えたら怖かった)

ちなみに中国ドラマでもこのシーンはあるが、若干手紙の内容は違っている
「桃園で誓ったのに、なぜ曹操のために戦ってるんだ」という感じの、関羽を非難する内容の手紙になっている
そんでその手紙を読んだ関羽が「そんなつもりじゃないのに…(二夫人のためなのに…)」とマジでヘコんで泣くシーンになっている
関羽を非難するのもどうかと思うが、かといって首を贈られるのも困る

「そうかそうかvそんなに出世したかったら、首を贈るから、それを曹操に渡せばもっと出世できるよv」
「お前の出世ぶりを陰ながら(幽霊となって)見守ってるから…!!」

そんな兄者からの手紙(※あくまで独自解釈による意訳である)
絶対こんな手紙貰いたくないわ…!!別れ際に恋人から贈られたら、確実に焦る手紙だ…!!
裏を返せば「別れるくらいなら死んでやらぁ!!!」ぐらいの勢いです

↓つまりこんな感じ
 ※だいぶ前に描いたネタ

重いッ…!!!!
重すぎるよ…!!!!!
どんな金銀財宝よりも、この手紙は重いよ!!!!(物理的に、ではなく精神的に)
兄者の愛が重過ぎて窒息しそうです…!!!!(重量級)

というか相手に首を送り付けるとか、もはや「サスペンス」のレベル…!!(猟奇的)
ヒッチコックもビックリな「サスペンスホラー」ですッ!!!!

なんか兄者の場合、本気で許昌に「首」を贈って来そうで怖いです
例えば曹操が「首を贈る」と手紙に書いてても、「まさかw」って笑って流せるけど、
兄者がそんなこと書いてたら「え…!まさか…!?(汗)」と焦ります


曹操からの関羽へプレゼント → 金銀財宝、高い爵位、美女10人、赤兎馬

劉備からの関羽へプレゼント → 首


かっ…

勝てる気がしないッッッ…!!!!!!(汗)

いくら他に差し出すものがないからといって「首」はやめようぜ、首は!!(貰って困るプレゼント)
そんな命懸けのプレゼントなんて要らねぇよ!!怖すぎるよ!!(吉川の兄者は最強だと思う瞬間)

だいたい本気で首を送り付けられたら、さすがの関羽もショック死するんじゃないかな…(吉川関羽は特に繊細)
もしくは殉死するんじゃないの…?なんてったって「死ぬ時は一緒」ですから…
まさか「首を贈る=お前も殉死しろ」ってことじゃないよな…!!?(考えれば考えるほどに怖い手紙)


問・主君から贈られて困るプレゼントは?
1、剣
2、箱
3、首


まぁ、どれも嫌ですけどねッ!!!!!!(きっぱり)
でも映像的には「3」が一番ショッキングですよ!!(恐怖映像)

吉川の劉備さんはたまに「ゾクッ」とするようなことをしてくれるが、これはその一例
だがそこが吉川劉備さんの魅力ですよ!!(魅力ってことで話をまとめる)
そんな猟奇的な兄者が大好きさ!!(何故)


ちなみに兄者は手紙に「まぁ、そっちで出世したいなら別に良いけど?」的な事を書いておきながら、
伝令役の陳震にはきっちり「1日も早くこの地を逃れて、河北へ来給え」と言伝てを頼んでいる(さすが兄者です!)
他の人が見るかもしれない手紙には「さっさとこっちに来い」とは書けないので、あんな内容に…(笑)
でも他の人があの手紙見たら、完全に引くと思うがな…(禁句)

そして手紙には「曹操」のことを一言も書いてない所がさすがです
っつーか、関羽が自分より曹操を選んだと認めたくないのか?
関羽の狙いは「富貴」であって、許昌にいるのも贅沢な暮しがしたいだけであって、
別に関羽が曹操を気に入ったからとか、そんなんじゃねぇよッッ!!ただの財産目当てだろ!!ということですか?(負け惜しみとしか思えません)

もう面倒臭いから、無双兄者のように許昌まで関羽を迎えに行けばいいんじゃね?(※無双3千里行を劉備でプレイした場合)
そして有無を言わさず関羽を取り返せばいいと思います(四武器装備で)






  魂魄と化して、故主のもとへ   (2011/2/10)
ちなみに劉備の手紙を読んで、関羽は「富貴、栄達など望むはずないのにッ…!!」的な感じで、
「劉備の切々な情言を、むしろ恨めしくさえ思った」とのことですが、俺だったらあんな重い手紙貰ったら完全に引くけどな…(禁句)
「首を贈る」と切々と書かれても、本気過ぎて怖いです…(さすがに本気ではないと思いたい)


▼その辺りの一文

関羽は、劉備の劉備の切々な情言を、むしろ恨めしくさえ思った。
富貴、栄達――そんなものに義を変えるくらいなら、なんでこんな苦哀に忍ぼう。
「いや勿体ない。自分の義は、自分の胸だけでしていること。遠いお方が何も知ろうはずはない」
その夜、関羽はよく眠らなかった。


相変わらず関羽は何でもかんでも我慢するタイプよね…
兄者への思慕も全部、自分の胸にしまいこんでそうだ

しかしあの手紙を書いている時に、「燈火明るいとき吉事あり」という言葉を思い出して、
「よっしゃあ!!なんか良い事あるかも!?関羽と会えるかも!!」という乙女チックなノリは分かるが(四つ葉のクローバーを見つけて「なんか良い事あるかも!?」的なノリ)
燈火の明るさを見て関羽と再会出来ると確信して、ウキウキしている割に…

手紙の内容が重いですッ…!!!!!(吉川「燈花占」参照)

もうちょっと軽いノリの手紙にして欲し…いや、軽いノリで「首を贈るぜ★」とか言われても困る(非常に困ります)


まぁ、確かに劉備さんの愛は重いが、関羽の愛も同じぐらい重い
吉川でも「兄者に会えないなら死んでやらぁ!!」ぐらいの勢いの台詞を連発しております


というか吉川はどれも名言過ぎて萌える
主に曹操に対して、関羽がハッキリ言い過ぎてて泣ける…!!
「曹操→関羽→劉備」の構図にずっと萌えっぱなしです!!(吉川を読むたびにテンション上がる)

台詞だけでなく、曹操の心理描写がやたら萌える…!!
「曹操も遂に、三つの乞いを許し、すぐ関羽を迎えて来いと、恋人を待つように彼を待ちぬいたのである」とか書かれたらもう…!!(何)
「恋の曹操〜千里行」辺りはすべてが美味しい…!!(ゴチになります!)

しかし酒宴で酔いに乗じて「どうせ玄徳なんてすでにこの世にいないから、墓でも作っといたほうが良くね?(笑)」的なことを言う曹操は、
まったくデリカシーがないと思う人、お手上げ!はいッ!!(←すぐ挙手)
あの発言は関羽の心情を無視し過ぎだろう…!!(※関羽が曹操の軍門に降ってすぐの酒宴にて)
そんなことをこっそり囁かれても、関羽が傷付くだけだと思うぜ!!
「髯が鴉になるよ!」と言われて、笑ってる場合じゃないぜ、丞相!!(関羽はわりと本気発言)


▼吉川の名台詞集(アバウトに抜粋)

曹操「きょうは実に愉快な日だ。曹操にとっては、日頃の恋がかなったような――また一挙に十州の城を手に入れたよりも大きな歓びを感じる。しかし羽将軍には、どう思われるか」
関羽「面目ない――その一言につきております」
曹操「さりとは似合わしからぬ言葉、それは世の常の敗軍の将のことで、羽将軍のごときは、名分ある降伏というべきで、はずるどころではない。堂々、臣道の真を践まれておる」
関羽「さきに張遼を通じて、お約束を乞うた三つの箇条は、とくとお聞き届け下された由、丞相の大恩として、ふかく心に銘記します」
曹操「案じ給うな、武人と武人の約束は金鉄である。予も徳の薄い人間であるが、四海を感ぜしめんためには、誓って違背なきことを改めて、もう一度言っておく」
関羽「かたじけない。さるお誓いのあるうえは、やがて故主玄徳の行方がわかり次第に、この関羽は直ちにお暇も乞わずに立ち去るものとお思い下さい」
   「火を踏み、水を越ゆるともその時には、あなたの側にはとどまっておりますまい」
曹操「ははは、羽将軍は、なお曹操の心事をお疑いとみえるな。ご念には及ばん……」


曹操「羽将軍、君が会わんと願っているひとは、おそらく乱軍のなかで、もう屍になっているかも知れんな」
   「むしろ霊を祭って、ひそかに弔ってあげたほうがよいだろう」
関羽「それと分かった時でも、それがしはきっと、丞相の側に居なくなるでしょう」
曹操「どうしてか。玄徳が討死にしてしまったら、もう君の行く先はあるまい」
関羽「いや、丞相――この髯が、鴉になって故主の屍を探しに飛んで行きましょう」
曹操「そうか。あははは、なるほど、その髯が、みんな翼になったら、十羽ぐらいな鴉になろうな」


曹操「羽将軍、君は武人のくせに、えらい倹約家だな。なぜそんなに物惜しみするのかね」
関羽「え。どうしてです?特に贅沢したくもないが、また特に倹約している覚えもありませんが」
曹操「いや、やはりどこか、遠慮があるのだろう。曹操が賄うている以上は、何不自由もさせないつもりでおるのに――」
   「なにも、新しい衣裳を惜しんで、古袍をわざわざ上に重ね着しているにもあたるまい」
関羽「あ。このことですか。これはかつて劉皇叔から拝領した恩衣です」
   「どんなボロになっても、朝夕、これを着、これを脱ぐたび、皇叔と親しく会うようで、うれしい気持ちを覚えます」
   「故に、いま丞相から新たに、錦繍の栄衣をいただいたものの、にわかに、この旧衣を捨てる気にはなれません」


曹操「やぁ、御用はもうお済みか」
関羽「中座して、失礼しました」
曹操「今日はひとつ、将軍と飲み明かしたいと思っていたのでな」
関羽「冥加のいたりです」
曹操「将軍には、何故か、泣いてきたとみえるな。君も泣くことを初めて知った」
関羽「あははは。見つかりましたか。それがしは実はまことに泣き虫なのです」
   「二夫人が日夜、劉皇叔を慕われてお嘆きあるため、実はいまも、貰い泣きをしてきた訳でござる」


曹操「君の髯は、実に長やかで美しいが、どれほどあるかね、長さは」
関羽「立てば髯の先が半身を超えましょう。秋になると、万象と共に、数百根の古毛が自然に抜け落ち、冬になると草木と共に毛艶が枯れるように覚えます」
   「ですから極寒の時は、凍らさぬよう嚢でつつんでいますが、客に会う時は、嚢を解いて出ます」
曹操「それほど大切にしておられるか。君が酔うと、髯もみな酒で洗ったように麗しく見える」
関羽「いやお恥ずかしい。髯ばかり美しくても、五体は碌々と徒食して、国家に奉じることもなく、故主兄弟の約にそむいて、むなしく敵国の酒に酔う」
   「……こんな浅ましい身はあろうと思えませぬ」


陳震「お返辞は書けていますか」
関羽「お前は何者か」
陳震「袁紹の臣で陳震と申すものです。一日もはやくこの地を逃れて、河北へ来給えとのお言伝てでございます」
関羽「こころは無性にはやるが、二夫人のお身を守護して参らねばならん……身ひとつなれば、今でも行くが」
陳震「いかがでございますか。その脱出の計は」
関羽「系も策もない。さきに許都へまいる折、曹操とは三つの約束をしてある」
  「先頃から幾つかの功を立てて、よそながら彼への恩返しもしてあることだから、あとはお暇を乞うのみだ」
  「――来る時も明白に、また、去る時も明白に、かならず善処してまいる」
陳震「……けれど、もし曹操が、将軍のお暇を許さなかったらどうしますか」
関羽「そのときは、肉体を捨て、魂魄と化して、故主のもとにまかり帰るであろう」



感動的な関羽の台詞を完全にブチ壊す感じで、非常に申し訳ないのだが…
「魂魄と化して…」という文字を入力したかったのに、

「コンパクト化して」と変換されました

関羽がコンパクト化して兄者の元へ…ダメだッ!!笑いが止まらねぇよッッ!!!(←完全にツボに入ったようだ)
感動的な台詞が一瞬にして台無しじゃないかッ…!!!!!!(関羽に謝れ)
というか吉川の文章がことごとく難しくて、パソコンが全然変換してくれないという…!!(しっかり変換してくれ!)






  軍中に戯言なしだが、このサイトは戯言だらけだ   (2011/2/11)
まぁ、管理人は常に一人で「吉川萌えるずぇ〜!!」と騒いでる可能性がありますが(いつもの光景)
だって吉川はホント読む度にテンション上がる…!!!!(名作過ぎる)


▼とりあえず文字数の関係で昨日書けなかった吉川ネタでもどうぞ〜

曹操「十人の美女を贈っても、かつて嬉しそうな顔ひとつしない君が、どうして、一匹の畜生を得て、そんなに歓喜するのかね」
関羽「こういう千里の駿馬が手にあれば、一朝、故主玄徳のお行方が知れた場合、一日のあいだに飛んで行けますから、それを独り祝福しているのです」


張遼「あなたを丞相に薦めたのは、かくいう張遼であるが、もう近頃は都にも落ち着かれたであろうな」
関羽「君の友情、丞相の芳恩、共にふかく心に銘じてはおるが、心は常に劉皇叔の上にあって、都にはない」
   「ここにいる関羽は空蝉のようなものでござる」
張遼「ははあ、……大丈夫たる者は、およそ事の些末にとらわれず、大乗的に身を処させねばなりますまい」
   「いま丞相は朝廷の第一臣、敗亡の故主を恋々とお慕いあるなど愚かではありませんか」
関羽「丞相の高恩は、よく分かっているが、それはみな、物を賜うかたちでしか現わされておらぬ」
   「この関羽と、劉皇叔との誓いは、物ではなく、心と心のちぎりであった」
張遼「いや、それはあなたの曲解。曹丞相にも心情はある」
   「いや士を愛するの心は、決して玄徳に劣るものではない」
関羽「しかし、劉皇叔とこなたとは、まだ一兵一槍もない貧窮のうちに結ばれ、百難を共にし、生死を誓ったあいだでござる」
   「さりとて、丞相の恩義を無に思うも武人の心操が許さぬ」
   「何がな、一朝の事でもある場合は身相応の働きをいたして、日頃のご恩に応え、しかる後に、立ち去る考えでおりまする」
張遼「では。……もし玄徳が、この世においでなき時は、どう召さる気か」
関羽「――地の底までも、お慕い申してゆく所存でござる」


孫乾「この孫乾が、先に河北へ行って、あらかじめ袁紹とその周囲の空気を探っておきます」
関羽「む、む。それなら万全だ。身に変事のかかることは怖れぬが、彼に身を寄せ給うているご主君が心がかり……。頼むぞ、孫乾」
孫乾「お案じあるな、きっと、そこを確かめて、あなたが二夫人を守護してくるのを、半途まで出て待っていましょう」
関羽「おお、一刻もはやく、主君のご無事なお姿を見たいものだ。ひと目、その思いを果たせばそれだけでも、関羽は満足、いつ死んでもよい」
孫乾「なんの、これからではありませんか、羽将軍に似合わしくない」
関羽「いや、気持ちのことだ。それほどまで待ち遠しいと言うたまでのこと」


張遼「何を読んでおられるのか」
関羽「いや、春秋です」
張遼「君は春秋を愛読されるか。春秋のうちには、例の有名な管仲と鮑叔との美しい古人の交わりが書いてあるくだりがあるが、――君はあそこを読んでどう思う」
関羽「べつに、どうも」
張遼「羨ましいとはお思いにならぬか」
関羽「……さして」
張遼「なぜですか。誰も春秋を読んで、管仲と鮑叔の交わりを羨望しないものはいない」
   「――我を生むものは父母、我を知るものは鮑叔なり――と管仲がいっているのを見て、ふたりの信を羨むものはないが」
関羽「自分には、玄徳という実在のお人があるから、古人の交わりも、羨むに足りません」
張遼「ははあ。……では貴公と玄徳とのあいだは、いにしえの管仲、鮑叔以上だというのですか」
関羽「もちろんです。死なば死も共に。生きなば生を共に。管仲、鮑叔ごとき類とひとつに語れませぬ」


張遼「――では、この張遼と貴公の交わりは、どうお考えですか」
関羽「たまたま、御身を知って、浅からぬ友情を契り、ともに吉凶を相救け、ともに患難をしのぎあって参ったが」
   「ひとたび君臣の大義にもとるようなことにでも立ちいたれば、それがしの力も及びません」
張遼「では、君と玄徳との、君臣の交わりとは、較べものにならぬ――という訳ですな」
関羽「訊くも愚かでしょう」
張遼「しからばなぜ君は、玄徳が徐州で敗れた折、命を捨てて戦わなかったか」
関羽「それを止めたのは、貴公ではなかったか」
張遼「……むむむ。……だが、さまで一心同体の仲ならば」
関羽「もし、劉皇叔死に給えりと知らば、関羽はきょうにも死にましょう」
張遼「すでにご存じであろうが、いま玄徳は河北にいます。――ご辺もやがて尋ねてゆくお考えでござろうな」
関羽「いみじくも仰せ下さった。昔日の約束もあれば、かならず約を果たさんものと誓っています」
   「――ちょうどよい折、どうかあなたから丞相に告げて、それがしのためにお暇を貰って下さい。この通りお願い致す」


曹操「さすがは強大国、いままで曹操が敵として見た諸国の軍とは、質も装備も段違いだ。盛んなるかな、河北の人馬は」
関羽「丞相、あなたのお眼にはそう映りますか」
   「それがしの眼には、墳墓に並べて埋葬する犬鶏の木偶や泥人形のようにしか見えませんが」
曹操「いや、いや、敵の士気のさかんなことは、味方の比ではない。馬は龍の如く、人は虎のようだ」
   「あの一旒の大将旗の鮮やかさが見えんか」
関羽「ははは。あのような虚勢に向かって、金の弓を張り、玉の矢をつがえるのは、むしろ勿体ないようなものでしょう」
曹操「見ずや、羽将軍。あのひらめく錦旛の下に、いま馬を休めて、静かに、我が軍を睨めまわしておる物々しい男こそ、つねに我が軍を悩ましぬく顔良である」
   「なんと見るからに、万夫不当な猛将らしいではないか」
関羽「そうですな。顔良は、背に標を立てて、自分の首を売り物に出している恰好ではありませんか」
曹操「はて。きょうのご辺は、ちと広言が多過ぎて、いつもの謙譲な羽将軍とは違うようだが」
関羽「その筈です。ここは戦場ですから」
曹操「それにしても、あまりに敵を軽んじ過ぎはしまいか」
関羽「否……決して、広言でない証拠を今すぐお見せしましょう」
曹操「顔良の首を、予の前に引っさげてくると言われるか」
関羽「――軍中に戯言なしです」



許昌にいた時はずっとウダウダしていたのに、戦場に出た途端、この豹変ぶりは何!?この自信満々ぶりは何なの!!?
そのギャップに萌えるんですけど!!!(そしてさらに深みにハマっていく曹操様)

それにしても関羽が着陣した時の、曹操様の喜びっぷりが可愛すぎる件(※軍議中にも関わらず軍議をほったらかして、大喜びで関羽に駆け寄って行った丞相)
というか置き去りにされる部下の皆さんが可哀相過ぎるw
惇兄が血涙流してそうだわ…(蒼天か)