★素晴らしき頂き物★
★鳴神左翼さんから頂きました★
  愛の軌跡 (ドクター&主人公♂)

すっかり眠り込んでいると思っていたピートが目を開けたものだから、ドクターは驚いて少しだけ後退りしてしまった。
病院に来てみればドクターが仕事で忙しかったので、暇だと言いながら眠ってしまったのだが。
「また変なこと考えてたんでしょ、ドクター」
「変なことなど断じて考えていないぞ」
「嘘だ」
ピートが寝返りをうつように体の向きを変えた。
楽しそうに笑いながらドクターを見ている。
「今日、星夜祭だよね?」
「そうだな」
ピートが話題を変えてくれたことにほっとしつつ、ドクターもピートに合わせて微笑みながら答えた。
ふたりの関係が友人から恋人へと変わってから最初のイベント。
特に何があるわけでもないが、それでも心は浮き立ってしまう。
「一緒に過ごそうね」
「俺は言われなくてもそのつもりだったんだがな」
ピートは笑い、足だけをベッドから下ろしたので腰かける格好になった。
「また夜にな」
ドクターがピートの額に軽く口づけ、ふたりは別れた。
夕方を少し過ぎた頃、牧場にドクターがやってきた。
「遅くなって悪かった」
「別にいいよ」
ピートがドアを開けると料理の匂いが流れてきて、ドクターは嬉しそうに目を細めた。
「全部ピートの手作りか?」
「そうだよ。ドクターに喜んでもらいたかったからがんばったんだ」
無邪気に笑うピートが愛しくて、ドクターは思わずピートを抱きしめていた。
「ドクター?」
「可愛い、ピート」
ピートがドクターの腕の中で照れながらもがいている。
「ドクター、ドア閉めないと…あと料理が冷めちゃうよ」
「あぁ、そうだな」
ピートを離してドアを閉めるドクター。
ピートに導かれ、料理の並んだテーブルにつく。
テーブルの真ん中には花が飾られていて、質素な木のテーブルも今日ばかりはそれなりの顔をしている。
食べ始めてしばらくは他愛ない話をしていたのだが。
「せっかくの星夜祭なんだからさぁ、もっとそれっぽい話しようよ」
フォークに肉の塊を突き刺したままピートが言う。
「…それっぽい話ってどんなだ?」
野菜を口に運びながらドクターが尋ねた。
「…よくわかんないな」
「ほら見ろ」
ピートがすねる。ドクターが笑う。
いつもと変わらないやりとりなのに、なぜだか特別に感じてしまう。

そろそろ食べ終わろうかという頃、ピートが人さし指をたてて言った。
「この寒いのにか?」
「きっといい感じだと思うよ」
ピートの笑顔に後押しされたのか、ドクターはついこくりとうなずいた。

「すっごい!ねぇドクター、すごいよ!」
叫ぶが早いか、ピートは両手を広げて走りだした。
苦笑しているドクターが後に続く。
手をのばせば今にも届きそうなほど近くに星のきらめきが見える。
こんなにきれいに見えるのが嬉しいのか、ピートはさっきからずっとはしゃいでいる。
そんなピートもやがて静かになり、そっとドクターに寄り添った。
「何だかさ、」
「うん?」
「こんなにきれいだと、願いをかけたくなるよね」
「そうだな」
ピートがきらきらした目で空を見上げているから、ドクターもそれにならって星々に目をやった。
「…寒いね」
ピートの言葉に、ドクターは無言でピートの手を握った。
「結婚しようか」
風も雲も全てが動きを止めたようだったが、それはピートの気のせいだった。
「…ドク、ター?」
無意識にドクターの手には力が入っていて、この寒い中汗がにじんでいた。
「だって、僕たちは結婚なんか」
「嫌、か?」
「嫌じゃないよ」
祝福されない恋なのはわかっていた。
けれどこの手を握り返してくれるならどこまでもいけると思ったのは事実だから。
出会ってから今まで、遠回りはあっても間違いはひとつもなかった。
「うん、しよう」
ピートが笑顔ではっきりと言った。
「本当にいいのか?」
「もちろん」
ピートがとてもとても小さな声で、大好きだよ、とつぶやいた。
ドクターはピートよりは少しばかり大きな声で、愛している、とつぶやいた。


終わり。














▼ 管理人の一言

新年のご挨拶に左翼さんのサイトにお邪魔したら行ったら1607番でキリゲットならず!と思ってたら後日、
左翼さんが「1700自爆したので誰か代わりのリクをしてやってください」と書いてあったので
遠慮なく「じゃあドク主で!」とリクしちゃいましたv(ちったぁ遠慮しろ!!)
本当にありがとうございます、左翼さん!!久々のドク主!!

…っていうか、えぇっ!!け、結婚ですか!!?結婚しちゃうんですか!?(驚)
さらっとプロポーズして、しかもあっさりOKですか!!
お、おめでとうございます…!!(とりあえず祝福)

結婚式はやっぱり教会なんでしょうか…
カーターさんの動揺する姿を想像するとちょっと笑えますが…(おい)
左翼さんの言う通り、恐らくカーターさんは聖書を上下逆さま(ありがち)に持って式を進めることでしょう(笑)
これは次回が楽しみだったので、またキリ番取ってドク主をリクしました(過去形)