★素晴らしき頂き物★
★鳴神左翼さんから頂きました★
  翔べない天使 (グレイ&主人公♂)

うまくいかない時は、何もかもが腹立たしく思えるらしい。
空は嫌になるほど青い。もし雨だったとしても、それはそれで嫌な気分になっただろうが。
自分でもよくわからないことを考えながら、グレイは1人で歩いていた。
広場の近くを通り過ぎようとした時、誰かがベンチに座っているのに気づいた。
アツキだ。特にどこへ向かっていたというわけでもないので、グレイは進路を変えて広場へ歩いていった。
「わっ」
「ひゃあ!」
間抜けな声をあげて振り向くアツキ。そこにはにやにや笑っているグレイがいた。
「びっくりさせるなよ」
「悪い悪い」
子供のように頬をふくらませるアツキに、グレイがあまり悪いと思ってなさそうな口調で謝る。
「何やってんだ? こんなとこで」
「考え事かな。グレイは?」
「お前がいたからなんとなく来てみただけなんだけどな、オレもちょっと考え事してた」
「仕事どう?」
「どうとか言う以前に、仕事が来ねぇんだよ」
苦笑するグレイ。
「そっか…。こっちもいまいちってとこだよ」
「いまいち? 何でだよ?」
言いながらグレイは、アツキの牧場の様子を頭に思い浮かべた。動物がたくさんいて、畑もとても広くて。あれなら1人で暮らしていくだけの収入はのぞめるはずだ。
「本当に牧場がしたいのかなって思ってね」
「今さらそんなこと考えてるのか?」
アツキがこの町に来て牧場を始めたのは、もうずいぶん前のことだ。
「今さらで悪かったね」
そう言うものの、アツキは怒っているわけではなさそうだった。
「ただなんとなく、仕事がなかったからやってるだけって気がして」
「それでも、本当に嫌な仕事ならやらないだろ? ちょっとでもやる気があるならいいだろ」
「まぁそうなんだけどね」
そして2人とも黙ってしまった。
「なんかさぁ」
「ん?」
アツキの方へ顔を向けるグレイ。
「こういうこと考えてると、自分がどうしようもなく小さい人間に思えてくるよね」
「言えてる」
言いながらグレイは、今度は空に顔を向けた。
「マリーが言ってたよ。何をしたらいいかわかんない時は、とりあえず目の前にあることをすればいいんだって」
「…グレイ、最近マリーの話ばっかりだね」
「何だよ、妬いてんのか?」
「そうじゃなくて、えーっと、ほらあれだよ」
ほらあれだよと言われても、グレイにはアツキが何を言いたいのかさっぱりわからない。

「あ、わかった。娘を嫁にやる時の父親の気分」
「はぁ?」
ぽんと手をうつアツキと、アツキの言葉を聞いたとたん吹き出したグレイ。
「いつからオレがお前の娘になったんだよ」
「たとえだってば。そんなに笑わなくてもいいだろ」
笑っているうちに、自分が何を悩んでいたのかも忘れてしまった。
きっとそんなもんだ。空は今日も青い。


   終わり。












▼ 管理人の一言

グレイが娘だったら絶対嫁には出しませんよ。
一生家にいてもらいます!(おい)
爽やかに女性向けです(笑)

というか俺がリクしたのって、これですよ、ね…?(おい)
確か小説をリクしたはずなんですが、「リク小説」と書いてなかったので…(苦笑)
すいません、左翼さん!俺がリクしたやつじゃなかったら下げますので!(土下座)
「お前がリクしたのはこっちじゃないっての!!」というつっこみは遠慮なくどうぞ!!